

子どもの姿勢、気になっていませんか?
私自身も息子の姿勢はとても気になるんです。
作業療法士としての経験があるがゆえに、余計に目についてしまう…。
「宿題中にすぐ前かがみになる」「ゲームをすると猫背になってしまう」「食事中に肘で体を支えている」
こんな姿勢の悩み、ママなら一度は感じたことがありますよね。
姿勢の悪さは、見た目だけでなく、肩こり・腰痛・集中力の低下や、体の成長にも影響します。
この記事では子どもの姿勢について、作業療法士として、日常生活でできるサポート法を家庭向けにまとめました。
机や椅子の環境調整から、遊びを通した体幹トレーニングまで、今日からすぐ実践できる方法を解説します。
なぜ子どもは姿勢が悪くなるのか?

まずは原因を理解することが大事です。
子どもが猫背や前かがみになる理由は、大きく分けて3つあります。
体幹や筋力がまだ発達途中だから
小学生くらいの子どもは、背骨や体幹の筋肉が未発達です。
長時間座っていると自然と背中が丸まり、前かがみになってしまいます。
机や椅子の高さが合っていない
- 机が高すぎる → 肘を浮かせて座る
- 椅子が低すぎる → 足が床に届かずぐらぐら
このような環境の不一致も姿勢の崩れにつながります。

人間の動きは環境に依存しています。
どういうことか?と言われると、大人でも地面が斜めになっていたら、体は斜めになります。
それに合わせて使う筋肉や姿勢、動きを無意識にコントロールしているんです。
生活習慣や遊びの影響

悪い生活習慣
- スマホ・ゲームの長時間利用
- 座りっぱなしでの学習習慣
- 運動不足
これらも猫背や肩こりの原因になります。
もちろん、やってはダメと言うことではありません。
しかし、長時間不良姿勢を取ることも多いので、姿勢を変える、姿勢を工夫するなどの対策は必須です。

頭は人間の全体の10%程度と言われています。
その大きな頭を支える姿勢が悪ければ、過剰な筋力を使うことになります。
この筋肉の硬さや使い方の偏りがあると、さらに姿勢の悪さにつながってしまうという悪循環に陥ります。
姿勢が崩れる原因と家庭でできる改善ポイント
姿勢が崩れる原因 | よくあるケース | 改善のポイント |
---|---|---|
体幹の弱さ | 長時間座ると横に崩れる | 遊びや運動で体幹を鍛える |
環境の不一致 | 机が高すぎる、椅子が低すぎる | 身長に合わせた机・椅子の調整 |
習慣 | ゲーム・スマホで前かがみ | 姿勢チェンジの声かけ、休憩タイミングを設定 |
家庭でできる机・椅子の工夫
机と椅子の理想的な高さ
作業療法士的な目安は:
- 肘が机に軽くのる高さ
- 足裏が床につくこと(届かない場合は足台を活用)
高さの調整だけでも、自然と背筋が伸びやすくなります。
イスの高さはだいたい膝関節、足関節、股関節が90度になる程度の高さが適正です。
差尺を知る 差尺とは?
差尺とは、椅子に座ったときの「机の天板の高さ」と「ひじの高さ」の差のことです。
つまり、
- 椅子に座る
- 肘を自然に曲げて机に置く
このときに「机の天板が肘よりどのくらい高いか?」を数値化したものです。
理想的な差尺
子どもでも大人でも、差尺はおおよそ「20cm前後」が理想と言われています。
- 差尺が 大きすぎる(机が高すぎる)
→ 肩が上がって力が入り、肩こりや疲れの原因になる - 差尺が 小さすぎる(机が低すぎる)
→ 前かがみになり、猫背や視力低下につながる
差尺のイメージ写真

◎自然に腕を置けて、背筋も伸びやすい
差尺を調整する工夫

家庭での工夫方法
子どもに合った学習机・椅子を選ぶことが大切
- 高さ調整ができない場合は、
- 座布団で高さを調整
- 足置きを置いて安定させる
- 定期的に「差尺」を測って見直す(成長が早い時期は特に重要)
- 身長差が大きい場合は昇降式のテーブルも検討する

昇降式テーブルは我が家でも活用していて、慎重に合わせて高さを細かく変えられるのはやはり姿勢には良いですね。
座位姿勢は腰への負担が高いので、立位にもできるのが素晴らしいです。
椅子や座面クッションで工夫
座布団や背もたれクッションで安定させると、猫背を防ぎやすくなります。
筋力の不足でどうしても姿勢が崩れやすい場合は、すぐには改善しません。
そのため、一旦クッションや座面で補正してあげると良いでしょう。
特に骨盤が後ろに倒れた姿勢を補助してあげるだけでも、勝手に背骨は伸びてきます。
一時的だとしても、こういったクッションや、補助器具を用いるのも効果的です。
遊びを通じて体幹や姿勢を育てる方法
家庭でできる体幹遊び
ポイント
- 四つ這い移動(手足をついて四つん這いで前進や横歩き、後ろ歩き)
- バランスボールに座って軽く跳ねる
- 風船バレーやキャッチボールで背筋を意識
- うつぶせの状態でタオルを両手に持って、そこにボールを転がしてタオルでそのボールを返す遊び
- ごろごろ遊び(寝返りをするイメージで、寝た状態で体をコロコロ転がします)
など
手先を使う遊びと姿勢の関係
- 粘土遊び、折り紙、積み木など机上での作業は、自然と正しい姿勢を維持する練習になります。
この時に環境設定として、椅子や机の高さを調整してあげると、よりよい姿勢に結びつきます。

子どもが好きで夢中になれる作業が良いです。
外遊びで体幹を育てる

正直昔は外遊びが中心だったので、わざわざ姿勢を意識した遊びを取り入れなくても、必要な筋力や姿勢保持の力がついていたんです。
ただ、最近はゲームや暑さ、遊び場の減少などの社会を取り巻く環境が変わってきたので、外遊びも意識的に取り入れないといけなくなりました。
- 鉄棒、ブランコ、うんていなどで自然に体幹が鍛えられます。
- 遊びながら姿勢感覚を身につけることができます。

おすすめはやっぱりぶら下がる、よじ登るなどの遊びです。
坂道を駆け上がるだけでも、体幹をコントロールしながら四肢を動かす練習につながります。
【チェックリスト】今日からできる!3分でできる姿勢あそび
- お風呂上がりに「飛行機ポーズ」で背筋伸ばし
- 寝る前に「ゴロゴロ転がり遊び」で体幹強化
- 朝の準備前に「バランス立ち」で足腰を整える

こどもはこんな動きできる?と急に親が問いかけても楽しんでやってみてくれます。
じゃあ〇秒やってみよう!をどんどん時間を延ばしてやってみるのも良いですよ。
親ができる声かけとサポート

子どもには特に声掛けの仕方は大切なんです。
声掛けの仕方で、伝わるか伝わらないかが決まってきます。
例えば
- 「背筋を伸ばして!」よりも「おへそが埋もれないように」「頭から糸で引っ張られるように」とイメージで伝える
- 姿勢が崩れたらすぐ注意するより、一緒に動いてリセットする
- 15〜20分に一度は姿勢チェンジを促す
姿勢チェンジは、毎回親が言うのは疲れるので、タイマーなど掛けてもらって、自分で意識するようにしてもらっても良いと思います。

そもそも子どもの集中力はそれほど続かないので、違う作業に切り替えちゃいましょう。
その時には時っ感タイマーなど視覚的にわかりやすいタイマーがあると便利です。
作業姿勢と安楽姿勢があることを知る

毎日の生活の中で、私たちは「作業姿勢」と「安楽姿勢」を自然に使い分けています。
けれど、この2つの違いを意識している人は少ないかもしれません。
現代はこどももパソコンやスマホ作業が多く、「作業姿勢」が長時間続きがちです。
それによって肩こりや腰痛が起こりやすくなります。
逆に、「安楽姿勢」ばかりでは体がなまってしまい、筋力低下や生活リズムの乱れにつながります。
つまり大切なのは、両方をバランスよく切り替えることです。

子どもでよくあるのは安楽姿勢でゲームをしているような状態です。
これは姿勢制御的にはとても良くありません。
作業姿勢とは?
「作業姿勢」とは、何かをするために体を働かせる姿勢のことです。
特徴
- 机で文字を書く
- 台所で料理をする
- パソコンを操作する
- 子どもが宿題をしている
こうした「作業」を行うために、筋肉や関節をある程度使って体を安定させている状態です。
作業姿勢のポイント
- 集中しているため筋肉に力が入りやすい
- 同じ姿勢が長時間続くと疲れやすい
- 良い姿勢(椅子や机の高さ調整)がパフォーマンスに直結する
安楽姿勢とは?

「安楽姿勢」とは、できるだけ体に負担をかけず、リラックスできる姿勢のことです。
安楽姿勢
- ベッドで横になる
- ソファに座ってテレビを見る
- クッションに体を預けて休む
つまり「休む」「くつろぐ」ための姿勢です。
- 体を支える力を最小限にできる
- 血流や呼吸がしやすい
- 長時間とっても疲れにくい
作業姿勢と安楽姿勢の比較表
項目 | 作業姿勢 | 安楽姿勢 |
---|---|---|
目的 | 仕事・学習・家事など「能動的な活動」 | 休養・睡眠・くつろぎ |
筋肉の使い方 | 適度に緊張し支える | 力を抜き最小限 |
持続時間 | 長すぎると疲れやすい | 長く続けやすい |
例 | 勉強、料理、運転 | 横になる、座って休む |
日常での工夫ポイント

作業姿勢だけでも、安楽姿勢だけでも姿勢制御はうまくなりません。
楽な姿勢、作業をする姿勢をバランスよくとることが大切ですね。^
1. 作業姿勢を快適に
- 机と椅子の高さを合わせる
- 足が床にしっかりつくようにする
- 30分に一度は姿勢を変える
2. 安楽姿勢でリセット
- 5分横になる
- 深呼吸をしながら椅子に背を預ける
- 就寝前はスマホを置いて体を休める
作業療法士ママからのアドバイスまとめ
- 完璧な姿勢を求めすぎず、「長く続けられる姿勢」を目指す
- 家庭での工夫だけで難しい場合は、学校や発達支援で専門相談も活用
- 親が無理なく声かけできる工夫を続けることが大事
ポイントまとめ
- 机・椅子の高さは肘と足裏を基準に調整
- 遊びや生活動作で体幹を鍛える
- 親の声かけはイメージや動作で伝える
- 無理せず、毎日の小さな工夫を積み重ねる
- 子どもを長時間集中させようと思わなくてOK
- 安楽姿勢と作業姿勢のバランスを大切に

我が家の長男は背が高く、一年生の頃小学校の机が大腿部に当たってしまい、うまく作業姿勢が取れていませんでした。
先生に相談して、大きめの机に変更してもらえたので、学校での姿勢がどうなっているのかという点でも授業参観の時などに観察してみてはいかがでしょうか。